この章では Flex を起動する基本的な方法を説明し、Flex で使用可能なコマンドライン・オプションを簡単に説明します。
Flex は記述情報を含むファイルを入力として受け取り、それをスキャナ機能を持つ C のファイルに変換します。Flex を起動するためのコマンド行は以下のようになります。
Flex のコマンドライン・オプションは以下のような意味を持ちます。
-b | -b オプションを指定すると lex.backtrack というファイルが生成されます。このファイルはスキャナの記述情報を最適化する際に使用されます。詳細については、***ページの
6.1 節「スピードの最適化」を参照してください。
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-c | このオプションは POSIX との互換性のために提供されているだけで、実際には何もしません。POSIX
では、-c オプションは C 言語によるアクションが使用されることを意味します。
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-d | このオプションを指定するとデバッグが可能になります。これにより生成されるスキャナは、実行中にスキャナの状態情報を
stderr に出力します。
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-f | これは Flex に対してファスト・スキャナ(fast scanner)とフル・スキャナ(full
scanner)のどちらを生成するかを指示します。詳細については、***ページの
5.3 節「テーブルの圧縮とスキャナのスピード」を参照してください。-f(小文字)オプションと
-F(大文字)オプションとは異なる効果を持つ点に注意してください。
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-i | これは Flex に対して大文字、小文字を区別しないスキャナを生成するよう指示します。詳細については***ページの
5.1 節「大文字・小文字を区別しないスキャナ」を参照してください。
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-n | このオプションは Flex にとっては何の意味も持たず、POSIX との互換性のためにのみ提供されています。POSIX
ではこのフラグは -v オプションによる出力を抑制するために使用されます。POSIX
でのデフォルトは、テーブル・サイズが指定されない限りこのような出力は抑制するというものです。Flex
ではテーブル・サイズは意味を持たないので、このフラグは冗長です。
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-p | -p オプションは、Flex に性能レポートを stderr に出力させます。スキャナの性能の向上に関する議論については***ページの
6.1 節「スピードの最適化」を参照してください。
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-s | Flex スキャナがマッチするものを見つけることができなかった場合のデフォルトのアクションは、そのマッチされなかった入力情報を
stderr に出力することです。-s オプションはこのようなアクションを抑制し、その代わりに入力情報がマッチしなかった時点でスキャナを異常終了させます。
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-t | このオプションが指定された場合、Flex は生成されたスキャナをファイル
lex.yy.c にではなく stdout に出力します。
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-v | これは Flex に対して冗長(verbose)モードで動作するよう指示します。
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-F | これは Flex に対してファスト・スキャナ(fast scanner)を生成するよう指示します。詳細については***ページの
6 章「スキャナの最適化」を参照してください。-F(大文字)は
-f(小文字)とは異なる効果を持つ点に注意してください。-f と -F の相違点に関する情報については***ページの
5.3 節「テーブルの圧縮とスキャナのスピード」を参照してください。
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-I | このオプションは Flex に対して対話的なスキャナを生成するよう指示します。詳細については***ページの
5.2 節「-I オプション:対話的なスキャナ」を参照してください。
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-L | デフォルトでは Flex は、デバッグを支援するために、生成されたスキャナのコード中に
#line 指示子を書き込みます。このオプションによって #line 指示子の書き込みは行われなくなります。
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-T | これは Flex に対してトレース・モードで動作するよう指示します。Flex
はたくさんのメッセージを stderr に出力するようになります。これらのメッセージは、Flex
を非常によく理解しているユーザ以外には無意味でしょう。
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-8 | このオプションは Flex に対して 8 ビット入力を受け付けるスキャナを生成するよう指示します。
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-C[efmF] | これらのオプションはスキャン処理用のテーブルをどのように圧縮するかを制御します。詳細については***ページの
6 章「スキャナの最適化」を参照してください。
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-Sskeleton_file | これは Flex に対して、生成するスキャナのベースとして skeleton_file
により指定されるスケルトン・ファイルを使用するよう指示します。これは主に
Flex 自体をデバッグするために使用されます。
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日本語訳:市川和久
Japanese translation by Kazuhisa Ichikawa (ki@home.email.ne.jp)